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香港国家安全法案と日本への影響とは?分かりやすく徹底解説!

6月28日より中国では香港への統制を本格化する、香港国家安全法(国安法)案の審議が始まり、香港を始め、アメリカ、韓国、日本など各国が法案可決に反対の色を示しています。

それを受けて「そもそも香港国家安全法案とは何なのか?」、「なぜ主に中国以外が法案可決に反対なのか?」、「仮に可決されると日本にはどんな形で影響があるのか?」など様々な疑問が生まれると思います。

そこで今回は、諸外国だけでなく日本の損益にも繋がるとされている香港国家安全法案とは何なのかや、また制定されたときの日本への影響について、何も分からない方に向けて分かりやすくまとめたので、ご紹介させていただきます。

香港国家安全法案とは

まず、香港国家安全法案とは香港のいわいる”憲法”の役割を果たす法律(香港基本法23条)のことで、中国政府に対する反逆、分離、扇動、転覆を一切禁止する内容の条例です。

香港政府がこれまでに発表した具体的な違反行為として以下の内容があります。

(1)中央政府転覆の意図をもって中国と交戦する外国の武装部隊に参加(2)武力によって中国の安定に危害を与える(3)扇動的な文書を出版

要するに、一言で簡単に言うと「中国には一切歯向かうな」という条例です。

ここで「元々、香港に存在する法律なのか?中国政府が制定しようとしている法律ではなかったのか?」と疑問に思われる方がいらっしゃると思います。

そこで”背景”として重要な中国と香港の関係性、また「一国二制度」ついて説明させていただきます。

中国と香港の関係性、一国二制度とは

かつてイギリスの植民地だった香港は1997年に中国に返還されました。

その際、中国は香港に対して「一国二制度」を50年維持することを約束します。

一国二制度:香港は中国の一部でありながら、※1特別行政区として”外交と防衛”以外を除いて※2高度な自治を認めるというもの

※1:本国(中国)とは異なる行政が設けられ、独自の法律などが認められる

※2:香港は独自の行政、立法、司法権を有し、中国本土では認められていない集会・言論の自由や、通貨・パスポートの発行権

上では堅苦しい説明になりましたが、民主主義のように言論・表現の自由が認められているのと同義です。

よって、中国政府に対する行為の一部を禁止する「香港国家安全法案」と言論・表現の自由などを認める「一国二制度」は相反するものになり、国民の反対もあったため、実際に国家安全法案が制定されることはなかったのです。

そして一国二制度の50年の維持の約束により、本来2047年まで香港独自の”法治”や”自由”が守られるはずでしたが、2020年の現在、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)つまり中国政府が関与してきているのです。

中国政府の狙いはデモの抑制だけ?

香港には一国二制度という大原則がありながらも、なぜ中国政府は国家安全法案を制定しようとしているのでしょうか?

中国政府の狙いとして真っ先に挙げられるのがデモの抑制が考えられます。

2020年5月24日には国家安全法案を巡って、抗議デモが行われ180人以上逮捕されたとして注目を集めましたが、これについて中国の王穀毅外相は「独立勢力が日増しに暴力的になった」や「国家の安全に深刻な危害を及ぼした」と会見でコメントしています。

香港では毎年のように香港・中国政府に対してデモが行われている背景があり、香港の民主主義の”波”は、中国共産党にとっていずれか脅威になると考えていたようです。

中国側の発言からすると、香港にデモを起こさせず、安心して共産主義国家を作りたいようですね。

香港国家安全法案が制定された時の日本への影響

香港国家安全法案の制定には香港やアメリカ、韓国、日本など様々な国が反対の姿勢を取っています。

その背景には香港が中国と世界各国を結ぶ貿易・金融センターの役割を果たしているということが挙げられます。

アメリカのシンクタンク(政策や経済の研究機関)の「ヘリテージ財団」と経済紙「ウォールストリートジャーナル」が毎年共同で発表している”国別経済自由同数”にて、香港は25年連続世界一位を獲得しています。

そのため、多国の経済影響が大きい銀行がこぞって香港に支店を設けていることもあって、ロンドン、ニューヨークと並んで「世界3大金融センター」の1つに数えられています。

なぜ香港がそれほどまでに経済的に発展しているのかというと、以下の二つ大きな理由があります。

  1. アメリカの関税や渡航に対する優遇処置
  2. 中国やアジア圏とのビジネス環境と密接している

①:1997年イギリスから中国に返還された時、アメリカは香港に対し「高度な自治」を前提に関税や渡航に関する優遇処置を提供しています。

この処置により隣接する中国本土との貿易も活発になり、結果的に”経済活動の架け橋”となった香港の経済市場は大きく成長するきっかけを得たと考えられます。

 

②:↑のアメリカから優遇処置を受けると共に、中国との経済関係も密接になりました。

中国本土からは、FTA(自由貿易協定)と同等のCEPA(経済貿易緊密化協定)などにより、香港企業はもちろん、現地進出の外資系企業にも、中国ビジネスにおける優位性が付与されています。

それに加えて、香港はほぼアジア全域に手が届く位置にあるので、中国&アジア圏の経済の通り道になっているのです。

しかし、国家安全がもし可決されると、アメリカ大統領のトランプ氏は優遇処置を取り消すと発言しました。

もしそうなると、3兆円規模とも言われるアメリカとの貿易は衰退し、「世界3大金融センター」の香港の経済影響力も弱くなると考えられます。

ここまで、世界各国と香港の関係を中心に説明しましたが、日本への影響も無視できません。

日本企業も香港の経済影響力に”うまみ”を感じて、年々香港に進出しているのが現状です。世界各国と同様に香港、中国にビジネス展開しても、その恩恵が受けられなくなる可能性が高くなりました。

事実、日本政府は国家安全法案が可決された場合には中国に対して「遺憾」を表明する方針となりました。

遺憾の表明は、例として尖閣諸島問題などの日本の国益に関する問題に対して使われることが多く、他国の政策に対して遺憾を表明するのは珍しいとのことです。

それほどまでに、日本政府は日本への経済的打撃を危惧しいていると考えられます。

追記、安全法の施行により新たな問題が

安全法が完全に制定・施行されたことで、中国の前線が押し上げられ、今後は台湾→尖閣諸島・海洋域と領土問題に発展する可能性が出てきました。

また、他コラムには以下のように書かれていました。

米中の間にあって、双方と政治を回避してビジネスを語ってきた日本は、米中対立の激化という方向性が続くならば、早晩踏み絵を迫られるかもしれない。

米中の間に立ってきた日本ならではの新たな問題点。

今後、しばらくは緊迫した情勢が続きそうですね。

まとめ

今回は「香港国家安全法案と日本への影響とは?分かりやすく徹底解説!」というテーマでご紹介させて頂きました。

※追記
結果的に、7月1日に安全法は施行され、アメリカは香港に対する特別待遇の取り消しを始めました。

今後、中国の動きによっては米中関係だけでなく、日米・日中関係の悪化にまで発展する可能性が出てきました。

今後の中国の動向に、各国から注目が集まっています

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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